■つらつらと、内省的に。

丸谷才一氏は「文章読本」の最後で、

「記すに値することがあつてはじめて筆をとれ。書くべきこと、語るべきことがあるとき、言葉は力強く流れるだらう」

と語っている。うへえ、参りやした、その通りでござんす、と尻尾を巻いて逃げ出したくなるような至言だけれども、日記というのは毎日書くものであるが故に、なかなか書くことが思い浮かばないこともままある。ましてや、「記すに値する」ことなんて、とてもじゃないが毎日は思いつかない。で、新聞を読んだり、テレビを眺めたりして、何か頭にびびっとくるものが無いか探すのだが、心動かされる出来事なんてそう都合よく起こるはずもない。これまで、天声人語にいちゃもんをつけたこともあるが、毎日何千万人という人が読むコラムを書くというプレッシャーは相当なものだろう。この日記を書くようになって、読むと書くのじゃ大違いだということを腹から納得した。それと、本当は俺、言いたいことなんて何一つないのではないか、と日々、自問自答。

いまの携帯電話を買ってから2年以上たつ。最近、相手の声がよく聞こえず、買い換えを検討していた。買った当時はiモードがスタートしてから日も浅く、カラー液晶画面であることが最新機種の証だった。いまではカメラは付く、インターネットにはつながる、テレビすら見ることができるらしい。技術の進歩はさりげなく、だが確実に進んでいると実感する。子どものときに読んだマンガの中で、主人公が腕時計型のトランシーバーで仲間と交信する情景が出てきた。子どもごころに、その腕時計が欲しくてたまらなくなったことを覚えている。二十年前の俺に、いま発売中のFOMAを見せたらぶったまげるだろう。考えてみればこの日記もそうだ。インターネットがアメリカで商用利用されるようになってから、まだ10年くらいではないか。それがいまでは、こんな使われ方を東洋の島国でされている。インターネットを考えた学者も予想していなかったに違いない。携帯にしろパソコンにしろ、いまでは誰もが持つようになった。しかし、これを使う我々が、二十年前より幸せに暮らしているかどうかは、大いに疑問であることが可笑しい。ちなみに、買い換えを検討していた俺の携帯だが、耳にくっつけるところの小さな穴を、爪楊枝でほじくったところ、驚くほど聞こえるようになった。単にホコリが詰まっていたのだ。当分、買い換える必要は無さそうである。

JRもたいへんだ

2003年2月20日
■追記。都会の片隅を疾走するタフ&クールなマイトガイ・俺だが、今朝、股引を履いてみた。先日親父が泊まりに来たときに、スーパーで買って、そのまま置いていったものだ。いまも、スーツの下に着用中。やばいくらい快適。何かをあきらめたときに、人は何かを手に入れる。

■身辺雑記。いつものようにJRに乗るためホームの階段を上がると「駒込駅でお客様がホームに墜ちたため、運転を一時見合わせております。お客様にはたいへんご迷惑おかけしますが……」のアナウンス。10分ほどで動き出したが、今度は原宿で「品川駅におきまして、車内トラブルが発生したため、一時運転を……」。どうなってんだ。だいたい、毎日電車に乗っているが、最近こんなトラブルが多すぎるぞ。誇張じゃなくて、5回乗るうち2回は止まる。どこの誰だか知らないが、ホームに墜ちるなよ、死ぬぞマジで、車内でトラブルってケンカか? くだらないからやめろ、などと説教したくなってくる。でも、不況のせいで、発作的にホームに飛び込んじゃう人とかも増えてるんだろうなあ。そういや昨夜もサラリーマンが駅でケンカしてた。辛い世の中だよなあ。でもみんな負けんなよ。人生はこれからだ。などと電車の中で考えていたが、前に立っていた俺と同年代のサラリーマンの寝癖がすごくて、ちょっと楽しくなった。

■田中宇「イラクとパレスチナ アメリカの戦略」読了。

■忙しいっす。


■韓国の地下鉄火災。プラスチック爆弾やサリンといった入手困難な危険物質ではなく、どこでも手に入るガソリンで、これだけの大惨事が起きた。たった、7000ウォン(700円)のガソリンでだ。毎日地下鉄通勤している我が身にはゾッとする事件である。この事件に触発される人間が出ないことを祈ろう。同時にテロの手段として使われないことも。日本の地下鉄関係者も「放火は想定外」と話している↓。
http://www.asahi.com/international/subway/TKY200302180222.html

■今朝、駅までの道すがら、路上の落書きに注意して歩いてみた。黒や青のスプレーで書かれた判読不能な文字やマークが、家の塀や商店のシャッター、ビルの壁などいたるところにあることに気づく。素人には分からないが、それぞれの文字・マークには固有の書き手がいて、落書き界にも有名人がいるらしい。電車の踏切の中など、書くのが難しい場所であるほど、ステータスが高いそうだ。書く若者はオシャレ気取ってるのかもしれないが、書かれた方は腹が立つ。ある家では「ここに落書きするな!」と塀にデカイ墨文字で書いてあり、その周りを揶揄するように落書きが囲んでいた。「本末転倒」という言葉が頭に浮かんだ。
今日の朝日社説「イラク戦争に反対する」。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

言ってることは正しい。同感。ただ自分としては「イラク戦争」という言葉がどうかと思う。無人爆撃機やトマホークミサイルで、自国側には死者を出さずに一方的に攻撃する行為は「虐殺」と書くべきではないか。ちょっと前に『ブラックホークダウン』という映画があった。ソマリアで実際に起きた戦闘に基づいて作られた映画だ。アメリカのデルタフォース・レンジャー部隊の勇気溢れる戦いをリアルに描く、ってな主旨だったが、最後の字幕がすごい。「アメリカ側の死者19人。ソマリア民兵の死者1000人以上」。ソマリア側の視点でこの戦闘を描いた映画が作られることは無い。

石原慎太郎都知事。チョコを突き返す。
http://www.asahi.com/national/update/0218/001.html

どっちもどっちだが、「素直に謝るアナタが好き」というメッセージが面白くもなんともなくて、突き返す気持ちも非常によくわかる。一方的に送りつけといて、突き返されたら激怒するってのはいかがなものか。

<「ホワイトデーのお返しに、発言撤回と謝罪をするのが紳士というもの」と女性たちはカンカン。“届かぬ思い”のお返しは、再度の抗議文になりそうだとか。>

くだらねえ。

今日の日記

2003年2月17日
■木村拓哉主演のドラマ『Good luck!』を見た。たまたま、何となく点けておいたテレビで、オープニングから見てしまった。自分はいままで、「連ドラ? けっ、くだらねえ」などというタイプの人間であった。昨夜も、お、これがウワサのドラマか、他に見るものもねえし、くらいの気持ちでいた。ビール片手の、100%ひまつぶしだった。

いま、ここに、パイロットになることを決意した男がいる。

何から始めればいいか分かんないんで、とりあえず、内山理名さんのファンクラブに入ろうと思います。

■そんなことはどうでもいい。世界各国でイラク攻撃反対のデモが、史上最大規模で起きている。しかしすでに中東地域には十数万の兵隊が派兵済み。ブッシュが振り上げた矛を下ろさずに撤兵するとは思えない。無理矢理攻撃開始→世界各国から非難轟々→アメリカ・イギリスでテロ頻発→イラクがイスラエルにスカッドミサイル発射→イスラエルが核で報復→アラブ諸国団結・石油の輸出ストップ→第3次世界大戦勃発。なんて事になったらやだなあ。

アサッテ君宣言

2003年2月15日
■今年はチョコ3個。完璧に義理チョコのみ。去年は「おっこれは義理か、それとも、もしや、デヘヘ」と少しの間妄想できるチョコが2個くらいあった(結局義理なんだが)。「義理でももらえるだけ感謝しろ」と言われたら返す言葉が無い。最近、扱われ方も、自分的にも、立派なオジサンである。あれだ。俺はもう、東海林さだお描くところのアサッテ君だ。まあ、あと10ヶ月経てばクリスマスだから(部屋で鏡に向かいながら)。

■今週の週刊新潮が天声人語を「ネットのパクリだ」と非難。読んでみたら、ぜんぜん大したことない。剽窃と書かれた天声人語は、「書店に行くとなぜトイレに行きたくなるのか」という10年くらい前に散々『本の雑誌』でやり尽くされたネタなんだが、いまさらこんな事を書くとは、やっぱり朝日はずれてんなあ、と笑ってればいいんで、わざわざ週刊新潮が巻頭特集で噛みつくほどのネタじゃ無い。

講演会でのマナー

2003年2月14日
■毎日毎日、腹が立ったことばっかり(しかもほとんどどうでもいい事)書いてるので、「こいつは本当に心が小さい奴だな」と思われるかもしれませんが、その通りです。もうお詫びしちゃう。

■その上で、また腹が立った事を書いちゃいます。許して。昨夜、300人くらい集まったあるセミナーに参加したんですけどね。で、そのときに。遅刻して入ってくる人いるじゃないすか。いや、遅刻だけならいいんだよ。その人が「いやー遅れちゃって申し訳ない。いやいや。ホントにスミマセンね。あー邪魔ですか私。ごめんなさい、ちょっと前を失礼」みたいな雰囲気の、腰が低い人だったら許せるんですよ。反対に、腹が立つのが、やたらデカい足音をたてて入ってくる人。とくに、女性に多いんだこれが。ヒールだから、床がカタいとカツカツ鳴っちゃうのかもしれんけど、その音にほとんど、全く、完全に、無頓着なタイプ。遅刻自体が講演者に失礼なんだから、足音立てないくらい、気を遣え! で、遅れて入ってきて、席に着くでしょ。5分くらい経つと、今度はバッグで「ピロピッピッピーッ」って携帯がなり始める。講演者が真剣に話してる時に、キューピー3分間クッキングの着メロが鳴り響いちゃう。きっと、急いで来たから、携帯の電源切り忘れたんだろうが、もうとっとと帰りなさい君は、と言いたくなります。多分そういう人は、人前で話した経験が全くないんだと思う。講演者に対する想像力がない。大勢に向かって話しているときに、携帯電話が鳴ると、これまで自分に向いていた聴衆の注意が、一瞬で壊れるからね。たぶん、そういう人にとっては、講演会も家でビデオ見てるのと一緒の感覚なんだな。ま、いまは偉そうにこんな事を書いている私ですが、学生のときは授業の終了5分前に教室に入って出席だけとったりしてました。反省。
■出社して机の上にあった封筒を開けると『生き残りヒモ生活マニュアル』という本が入っていた。発行元は太田出版。「ヒモはビジネスだ」という帯の惹句が目を引く。著者は現在、無職のまま、月収80万円、貯金1300万円のヒモ生活をしているそう。さらについてきたリリースがオモロイ。
<タイトルがタイトルだけに「読み物として奇をてらっているだけで、マニュアルとしての実用度は低いんじゃないの?」と思われると悔しいので、著者ともども本気になって取り組んでみたら、こちらの予想以上の内容に仕上がったと。ま、そういうことです>
なんつう挨拶文だ。かなり実践的で懇切丁寧な作りだが、これ読んで「よーし俺もいっちょヒモになってやっか>なんて思う奴はいるんだろうか。

■会社の受付嬢っているじゃないすか。でかい会社には。あの仕事ってね、相当ストレスたまると思うんだよ。まず基本的に常に笑顔でいなくちゃならない。たとえかなり歯が痛くても、前の日に飼ってた金魚が死んでても、お客様には笑顔。昨夜、5年つきあってた彼氏に振られても、サルトルにはまっていて実存とは何かと深刻に苦悩していても、来客の親父がひわいな冗談を言っても、笑顔。俺には絶対無理だ。機嫌が悪いときに、ワケわかんない客とかが来た日にゃあ、「帰れ!帰れ!」とか言い出しかねない。もう愛想ゼロの受付マン。木刀とか持ってて、来客にらみまくりだ。楽しいだろうなあ。ウソ。本当は小心者の平和主義者なんで最高級の笑顔を振りまきます。ピースピース。

■『山谷崖っぷち日記』が文庫になってたんで購入。オムライス食いながら3分の1くらい読む。で、読んでるうちにだんだん暗くなってきた。主人公の性格と行動様式に異様に共感を覚えるのはナゼだ。

■金城一紀の新刊「フライ・ダディ・フライ」を読む。短編集「対話編」と同時発売だが、値段が安かったのと文字組みが詰まってたんで、こっちの方がお得感が高かった。本を買うとき、なるべく文字の量が多いほうを選ぶという習性は、結局のところ貧乏性なんだろうか。面白かったれす。

■立花隆「巨悪vs言論」(上・下)購入。なんかなあ。上巻の途中まで読んだんだけど、20年前も30年前も、政治家はあくどい事やってるし、庶民は生活が苦しいって言ってるし、土建屋は無駄な工事してるし、変わんねえ。それにしても。俺は立花隆の文体が好きで、真似したりもしたんだが、語尾の「である」好きには驚いた。「である」8連発とか平気だもん。中身があれば文体はどうでもいいってことだ。

■丸谷才一と山崎正和の対談「日本語の21世紀のために」読了。「けんもほろろ」の意味を8割の大学生が知らなかったそうだ。「けん」も「ほろろ」も鳥の鳴き声とな。知らんかったわい。

■昨日みた「ボウリングフォーコロンバイン」について。マイケル・ムーアの突撃インタビューを「電波少年的」と評する記事をいくつか見たが、それは大きな間違いだ。社会の問題の核心にいる人物に、直接会い、話を聞き、疑問をぶつける。極めてまっとうなジャーナリストの仕事の方法である。お笑い芸人にゴミを拾わせて社会派ぶる番組とは、志からして違う。イラク攻撃前にこの映画を見ておいてよかった。あれだけ多くの人が、この映画を見にきたという事実。みんな「最近のアメリカおかしいよな」と感じているんだね。
■たまには日記っぽくいってみよう。昨日は10時起床。昼飯を食ったあと、恵比寿に向かう。そう、マイケル・ムーアの「ボウリングフォーコロンバイン」を恵比寿ガーデンシネマで見るのだ。去年12月頃、この映画の紹介記事を見た瞬間から、絶対見ると心に誓っていた。何度も書いてる「アホでマヌケな…」の作者の映画だからね。が、休日の度に何かしら予定が入って、のびのびになっていたのだ。ついに今日、見ることが出来る。午後2時スタートの回を見るため、1時30分に到着という早め早めの行動だ。俺のやる気が伺えるでしょ。で、着いたら行列。50人くらい並んでる。おお、人気だなあ、あちこち取り上げられてたもんなあ、週刊文春の映画評でも評者3人全員が三つ星をつけてたしね(俺が知る限り初めて)、さすがだマイケル、なんてノンキに思いながら列の後ろに並んだ。ほいたら。脇にいた会場整理係の女の子が「7時の回は残り12席でーす」と叫んでる。7時の回? 次は2時からだろ。も、もしかして、満員? 2時どころか4時半からの回も全て満席なのであった。大人気である。最終回も残り12席じゃあ見られるわけねえじゃん、アホらし帰ろ、と思って列を一瞬離れたが、9時30分スタートでレイトショーをやるらしい。で、せっかく恵比寿まで来たしなあ、今日見なかったらまたいつ来られるかわかんねえ、2秒ほど逡巡したが、結局再度並んだ。そしたらですね。映画ってのはやっぱり若い二人のためにあるんですね。休日に一人で映画を見ようなんて思うヒマ人あるいは負け犬(俺)なんて、滅多にいないわけです。残り1席になった途端、い並ぶカップルたちは「どうする〜みっちゃん」「う〜ん、ヒロ君が決めて」なんつって、みーんな隣でやってる別の映画(感動ドラマ系)のチケットを買い始めた。おお、これはチャンス。7時の回から見られるかも。俺の前には3人。親父が一人、カップルが二人だ。その親父もさっきまで携帯で奥さんらしき人と話してたのを聞いたが、先にチケットだけ買いに来てたらしい。が、親父は携帯を再びかけると、「いいから、お前は明日見ろ!」とか何とか言って、「大人1枚、7時から」と言い切った。奥さん大事にしてやれよ。亭主関白反対。結局。9時半からの回のチケットを買う。

■だが、映画まではまだ7時間以上ある。今日のプランは本来、映画を見た後でホームタウンに戻り、トレーニングセンターで汗を流す。その後はサウナに行き、ビールを飲みながら焼き鳥を食う、というまことに綿密かつ魅力的なものであった。ところが映画のおかげでそれが狂ってしまった。俺のバッグの中には運動セットがフル装備入ってる。どっかに運動できるところねえかな。さぼるとすぐになまっちまうからな。あ、もしかしたらこん中にあるかも! と思って恵比寿ガーデンプレイスの地図を見た。予想通り、ガーデンクラブというジムがある。サエてるな俺。で、行ってみた。自動ドアが開くと、そこは大理石とシャンデリアが燦然と輝く空間だった。絨毯はふかふか。モデルっぽい外人女性が高級ホテルのようなフロントの前で談笑している。ば、場違い過ぎる。フロントのお姉さんは俺を一瞥して、そこに何の存在も無かったかのように、外人女性との会話に戻った。頭にきた俺は、ビジターで利用しようと思い、足を踏み出した。が、壁に「お知らせ」が貼ってある。「会員様同伴チケット 3万円」。俺がいっつも行ってる区営スポーツセンターは一回350円。鼻水が出そう。「あれー僕なんか間違えちゃった、駐車場どこだっけ?」みたいなフリをしつつ引き返す。すれ違いに香水臭い毛皮のオバハンが入ってきた。革命だ革命。プチブル粉砕。

■しょうがねえからいったん地元に戻る。まだ2時半だよ。何の脈絡もねえけど、うどんを食うことに決定。最近できたチェーン系讃岐うどん屋に入る。かけが一杯100円。デフレ万歳だな。味もうまくて言うことなしなんだが、唯一の欠点は、トレイが非常に滑りやすい。盛大にうどんをぶちまける危険性が店中に内在しているのだ。そう思ってたら最近SPA!で松尾スズキがこのうどん屋について全く同じことを書いてた。その記事にはこうある。「日本中の人が、熱いうどんを滑りやすいトレイに載せて持っていたら。へたすれば内戦になる」。うどんで内戦。ちょっと楽しそうではあるな。で、俺はうどんが滑らぬよう緊張して運ぼうとしたとき、レジのお姉さんが、「こちらすべり止めでーす」とトレイとどんぶりの間に紙ナプキンを挟んでくれたのだ。俺は想像した。某月某日。株式会社花まるうどんの役員会。「何だあの記事は!けしからん!」「でも全店のトレイを交換するのには莫大なコストがかかります!」「そこを何とかするのが君の仕事だろ!」みたいなやりとりがあったに違いない。店舗事業部責任者の山下は「どうすれば、うどんが滑らなくなるだろう……」と眠れぬ夜を幾晩か過ごしただろう。試行錯誤を繰り返し、ついに紙ナプキンをすべり止めにするというアイディアを生み出す。不況なんかに負けない、日本企業の底知れぬ強さを見た思いだ。プロジェクトXでやんねえかな。やらねえな。

■で、地元のスポセンで運動してもまだまだ3時間くらいあったんで、焼き鳥屋で芋焼酎4杯飲む。すっかりできあがった頭で再び恵比寿へ。映画はかなり面白かったけど、両隣の人に「酒くせーなーこのオッサン」と思われないか心配で身が入らず。でも、良い映画だった。マジおすすめ。つうか長すぎ。

超個人的な体験

2003年2月8日
俺は美容院なんてチャラチャラした所じゃなくて床屋で髪を切ってんだけど。行く床屋も決まっててカット1000円、シャンプーとひげ剃りつけると1700円。プラス税ね。もう男らしさ全開なわけよ。行くと「うぃーらっしゃいませぇえー!!」って店員全員(男)が絶叫する系っつーの? で、座るわな。板前みたいな店員に「どーいたしやすか!」と聞かれたら「2センチ切って!もみあげは普通!」ってこっちもやや甲高い声で答えるわけよ。あとはなされるがままね。もう口なんて挟む余地無しよ。店員もお客さんたくさんいるから、スピード命だし。カットのみだと10分くらいで終わっちゃう。でもそれで十分なのよ。髪型なんてどーでもいいからね。誰も見てねえって俺の髪なんて。で、こないだ行ったらさ。普段は男だらけの床屋の中に、一人だけ女の店員がいたのよ。新入りなんだろうけど。髪はソバージュっていうの? もう真っ茶っ茶ね。アイシャドーは真っ青だし、煙草はショートホープ吸ってるし、いまどき茨城のコンビニ前にもいねーよこんな人と思ったんだけど。そしたらその人に当たっちゃったのよ。で、いつも通り注文したんだけど。シャキシャキ髪しばらく切られて、「こんなんでどう?」って鏡を見せられたらさ。頭の右側だけカッパみたいに尖ってんのよ。あちゃーと思ったんだけどね。ま、いいかカッパでもと。誰も俺の頭なんか気にしてねえし。「あー結構ですー」なんつって。ま、1050円(消費税込み)だからね。だから久しぶりに俺に会った人はさ、「お前頭の右側、尖ってんな」と思っても許してくれよ。1050円だから。

中島らも逮捕ほか

2003年2月7日
■少年がホームレス男性をナイフで刺し殺した事件。
http://www.asahi.com/national/update/0207/003.html
「(男性に)しつこく絡まれ、怖くなって思わず刺してしまった」と供述している。これに対しホームレス男性が「寝ていたらいきなり刺された」と話していたのを目撃している人もいる。さてどっちが正しいか。少年はその日、風邪で学校を休んでいたそうだ。なのにナイフを持って公園をうろついていた。何のために? と普通は思う。少年だから踏み込んで書けないのかしら。

■中島らも大麻所持で逮捕。一時、この人の本にはまったことがあって、全部読んだ。「今夜すべてのバーで」は傑作だと思う。「ガダラの豚」も「明るい悩み相談室」も面白かった。ただエッセイはネタの使い回しが多いんだよね。それ別な本にも書いてたじゃねえかと思うことが何度もあって、新刊は買わなくなった。まあ、らもさんのことだから、そのうち刑務所体験記を書くんだろう。それは読んでみたい。

■元国連大量破壊兵器査察官、スコット・リッター氏の講演から。
「私は元海兵隊員。愛国者だからこそ、皆さんに米国の戦争に反対を呼びかけている。日本政府は米国の戦争に賛成しているが、市民の多くは反対だ。皆さんが米国の友人なら、友人の酔っぱらい運転に反対すべきだ」

その酔っぱらい運転者が、へたすりゃ注意した友人もひき殺しかねないくらい、理性を失っているように思えるのが怖い。

■国とは何ぞやという事をつらつら考えてみるに(仕事しろよ)、最低限の責務は、国民が生きていくのに必要な食料を供給するってことじゃなかろうか。北朝鮮をみりゃ一目瞭然だが、食糧供給が機能しなくなった国家は早晩滅びる運命にある。で、日本はどうか、と考えると食糧の自給率40%。穀物にいたっては20%だ。タンカーが入ってこなくなったら東京は飢餓だよ。農業やろうかな。
■国連安保理にパウエルが提出した「証拠」。昨夜、眠い目をこすりながらNHKのライブ中継を見ていたが、あまりの退屈さに途中で寝ちゃったよ。ビンラディンとフセインが地下の超豪華サロンで会談している秘密映像(制作:ドリームワークス)とか、もっとインパクトある証拠が出てくるかと正直楽しみにしていたのに肩透かしをくらった気分だ。「推定有罪」で空爆されるんじゃ、イラク市民はたまらんよな。それにしても、何でアメリカはイラクを攻撃しようとしてるのか、納得がいくように誰か説明してくれないか。いや、もちろん石油利権とかが狙いなのは分かるんだけど。

■「ぶっちゃけ」ってどうよ? って言い方自体、いかがなものかだが、とにかく俺は「ぶっちゃけ」連発するヤツが嫌い。たいてい、お前ぜんぜんぶっちゃけてねえじゃん! と一喝したくなる。例えば自己紹介なら「あーオレ? ぶっちゃけ前科6犯だけど」。恋人に向かって「ぶっちゃけますが、実は妻子がいます」なんてのが正しい用法だと思う。そしたら新聞で読んだんだけど、キムタクがドラマで乱発しているそうじゃないですか。いいのかキムタク。ところで、第二子が産まれたんだってね。「感動!」って書いたFAXを報道各社に送ったと今朝ワイドショーで見たよ。おめでとう! キムタクこの日記見ないか。

■バレンタインデーにまつわる暗い思い出。小学校5年生のときのこと。その日、俺は友人のトモヒロの家に遊びに行っていた。バレンタインデーなんて俺たちワイルドコンビには関係ねえってんで二人でファミコンに興じていたのだ。そしたら「トーモヒーロくーん」と女の子二人の声が。わざわざ彼の家までチョコを渡しに来たのである。しかもその2人はクラスのアイドル的女子で、片一方は俺が密かに好きな子だった。「行ってこいよ」と俺。やがて帰ってきた彼の手には、カワイイ手作りチョコが二つ。「食べる?」と聞かれて一緒に食ったが、味は覚えていない。
■スペースシャトル・コロンビアが空中分解、墜落した。絶命した7人の乗組員の一人、イラン・ラモン大佐はイスラエル人初の宇宙飛行士。以下はアサヒ・コムからの抜粋。

<AP通信によると、ラモン大佐は1月29日、地上との交信で「地球はあまりに平和的で、か弱く見える。イスラエルも含めて、みんなでこれを守り続けていかねばならない」と語っていた。>

<バグダッドではこの日朝、国会議員らが反米、フセイン政権支持の演説集会を開いた。参加していた市内のモスク指導者でイスラム大学教授も兼ねるフセイン・アルシェブリ議員(45)は「これは神の意思だ。すべてを支配する神の前では、米国も小さな存在に過ぎないことを示した」と語った。ニュースを聞いた時には心が晴れた気分になったが、それは米国の政策に対して罰が下ったと思ったからという。「米国の宇宙飛行士だって一人の市民。罰せられたらいいのはブッシュ(大統領)だ」。>

<パレスチナ自治政府のエレカット地方行政相は1日、「愛する人を惨事で失った6人の米国人と1人のイスラエル人のご家族に哀悼の意をささげる」とのアラファト自治政府議長のメッセージを発表した。>

これを契機に「イラク攻撃をやっぱりやめよう。空爆すればこの何千倍の死者が出るのだ」という具合になるだろうか。ならないだろうなあ。
■過去の日記を読み返していたら、ボブサップのことを11月12日づけで書いている。で、その時点では格闘技オタク以外には「ボブサップって誰?」って感じだったんで、わざわざプライドのホームページにリンクを貼っていたが、いまや日本中の人気者だもんなあ。世の中の流れは速い。

■昨夜友人から「カウチポテト」という言葉を思い出した、とメールが来た。あったなあ「カウチポテト」。要するに寝っ転がってえびせん食いながらレンタルビデオを見ることなんだが、銀座のマガジンハウスを中心に棲息するオシャレ文化伝道師たちが12年くらい前にそう命名したのだ。同時期の流行言葉としては「DINKS」ってのもある。ダブルインカム、ノーキッズだっけ? 結婚してるけど子どもがいなくて共働き、ぼくたち悠々自適です!ってくらいの意味だ。わざわざ英語にするほどのことか。昔の雑誌を読み返すと、いい具合に死んでる言葉が見つかって面白い。

■昼休み。近所の書店で「平壌ハイ」石丸元章(文春文庫)を購入。カレー食いながら56ページまで読む。メチャクチャ面白え。
「世の中の苦しみや悲しみの大半は、まじめなメッセージによって引き起こされる。」(P・J・オローク)という巻頭言から始まる北朝鮮ツアー爆笑珍道中。久々に大ヒットの予感。

■ズームイン朝のメインキャスター、福沢アナが今日で番組を引退する。この人おもろいなあ、と俺が思ったのはプロレスの実況を担当していた「福沢ジャストミート」時代だ。スタンハンセンが入場するときに一緒になって「ウィーッ!」と絶叫する観客を、「ウィーッ少年合唱団」と名づけたのが忘れられない。ズームイン朝でも生中継だからトラブルや音が出ないなんてことはしょっちゅうあるが、センスのいいアドリブで乗り切る姿にプロの技を感じた。ズームイン朝を担当してから丸4年、これは俺が社会人になってからの年月とほぼ重なっている。毎朝、規則正しい時間に起きるようになってから、テレビをつけると常にこの人の顔があった。アナウンサーという仕事のすごみを感じさせるキャスターであった。
■SPA!のクレイジーケンバンド・横山剣インタビューから。
<一番憧れるのはサラリーマンですね。あり得ないぐらいカッコいいスーパー・サラリーマン。仕事がバリバリできて、夜になるといきなりボクシングで鍛えてて、ケンカが強いとか。そういうふたつの顔を持っているヤツには惹かれますよね、無性に(笑)>
わかる! そんなヤツになりてえもんだ。全ての男は「野獣死すべし」(大藪春彦)を読むべし。伊達邦彦万歳。松田優作主演の映画も良かった。一時の角川映画には勢いあったよなあ。「戦国自衛隊」とかね。で、いま「野獣死すべし」で検索したら、角川春樹が警官役で同映画に出演していたことを知った。当時社長だろ。恐るべし春樹。ビバ70年代ダンディズム。

猫と軽薄対談とB’z

2003年1月28日
■目覚めると昨夜の冷たい大雨を降らせた雲は東京の空から去っていた。アパートから駅まで10分ほど住宅街を歩く。濡れたアスファルトから微かに立ち上る匂いが、例年より早い春の訪れを感じさせる。マフラーをとった首筋に触れる空気が心地よい。近くの建設資材が置いてある空き地に、猫が数匹住み着いていた。近所の人がエサを与えており、三毛や黒ブチ、年老いたのから子猫まで、5〜6匹いたのだが、冷え込みが厳しくなってからはいつの間にかいなくなっていた。今朝はいるかなと思ってしばらく空き地を見回したが、相変わらず姿がない。

■「軽薄対談」吉行淳之介(新潮文庫)を読む。30年くらい前の対談集。山口瞳、カルーセル麻紀、遠藤周作らと吉行が女性について話す。いつの世も男性には進化がない。

■「SPA!」で松尾スズキが日本のショービジネスについて書いている。
<B’zとかはあいかわらず、長者番付トップなわけですわ。見たことないんですわ、俺の周りにB’zのファン。どこなんだ。大衆というものは、いったいどこにいるんだ。と最近不安になる。本当に存在するのか、大衆という人々は。長者番付を見るたび『トゥルーマン・ショー』みたく国がらみで謀られている気がする>。
ありとあらゆる情報に生で接することができる東京という都市にいる限り「大衆」は見えない。実家に帰って、中学時代の友人に会った。ドライブ中、車内BGMはもちろんB’z。彼らのCDはきっと、日本全国地方市町村にあるパチンコ屋や大型ショッピングセンターに向かうクルマの中でかかっている。

■アマゾンの書評から。<「難しいこともやさしい表現で書く、文章は短く切る、ズバリ結論から書く」これが、新聞記者が文章を書くうえでの真髄だ。欧米の記者たちは、その最高奥義を「KISS」というそうだ。 「Keep it simple, stupid!(アホ、もっとカンタンに書け!)」の略で、新人記者たちが、必ず先輩やデスクに言われる言葉である。 >
いい言葉だ。最後のアホがこれまたいい。いかにもオンザジョブトレーニングって感じ。

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