12月29日の日記

2004年12月29日
記録。久しぶりに東京に戻る。仕事納めのあと、友人のイベントの終盤を見に行き、ファミレスで打ち上げに参加。その後、山手線に乗ってむかし住んでいた街に行く。遅い時間のため電車は乗車率200%。東京にいた頃はその殺人的な混み具合が普通だと思っていたが、しばらく離れてみると、「毎日こんな電車に乗るのってホント拷問だよな」と思う。駅に着き、なじみのフレンチの店に1年ぶりに顔を出す。俺が行っていた頃は閑古鳥が鳴いている日も多かったが、今では週末は予約なしでは入れないくらい盛況らしい。その店の一人広報部を勝手に宣言し、友人知人にすすめまくった甲斐も多少あったかとうれしくなる。たまってたつけを払い、店を出る。わざわざホテルに泊まるのも馬鹿らしいので、サウナに行きひとっ風呂あびて仮眠室で寝た。8時に店員にたたき起こされ、ファミレスで年賀状を書く。半分ほどで飽きて店を出るが、外は大雪。漫画喫茶に避難し、いまこれを書いている。

年賀状を書くために名刺を整理していたら、大学の友人、Sの名刺が出てきた。1年半ほど前、Sの結婚式で俺は友人代表挨拶をした。その後、Sと会ったのは1回だけだ。ローリングストーンズのコンサートを一緒に見た。チケットはSのおごりだった。俺がSの生まれた地に引っ越す事になり、昨年末に電話で「こっちで飲もう」と話したのが最後の会話。しばらくして、Sが南の海で消息を絶ったと連絡を受けた。行方不明のまま後日、東京で葬儀が営まれた。自分は仕事で行けなかった。

人間が猿から人になったのは、道具を使い始めたときでも、言葉で意思疎通をするようになったときからでもなく、死者を弔うようになったときだと、ある思想家が言っていた。猿には道具を使う種類がいくつもあるし、イルカは言語に近い音声メッセージで仲間と交信する。しかし、すべての生物の中で、墓を作るのは人間だけだ。死者の声に耳を傾け、弔う行為は、全世界のあらゆる人間に見られる共通の儀式だそうだ。

自分自身の一年を振り返って、何が一番大きな出来事だったろうと考えてみて、Sのことを書いた。酒を飲むと奇声をあげたり、部屋にわけのわからない自筆の張り紙をしたりと奇行も目立ったが、仕事と音楽と女を愛し、10年以上にわたるつきあいの中で、一度も怒ってる姿を見たことがない、優しい男だった。

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