東京の朝

2003年9月23日
■昨夜。徹夜で仕事をしていた。朝の4時ごろ、のどが渇いたのでお茶でも買おうと一階のコンビニに降りていった。寒い。急激に秋がやってきたことを感じる。コンビニに目を向けると、店の前に救急車が停まっていた。赤い光を周囲に投げかける車の中から、ヘルメットを被った救急隊員が数名降りてきた。そのとき始めて、俺はコンビニの前のベンチに初老のホームレスらしき男が、がっくりあごをうなだれて座っていることに気づいた。そのコンビニには2時間おきに買い物にきていたが、まったくそのときまで男の存在には気づかなかった。酒に酔った金髪の男が、救急隊員に向かって「お前らがあと30分早く来たら助かったんじゃねえのかよお」と叫んでいる。救急隊員たちは、枯れ木のような男を抱きかかえ、ストレッチャーに載せた。死後硬直が始まっているのか、男の足は曲がったままだ。金髪の男はなおも叫びつづけているが、隊員たちは無視しつづけていた。パトカーが来て、私服の警察官らしき人物二人が現場検証を始めた。その間、5分ほどだったろうか。男を乗せた救急車が走り去ったあと、俺は、事務所に戻って仕事を再開した。それ以外に何ができよう。男の死は、明日の新聞にも載るまい。東京ではありふれた出来事だ。パソコンのキーを叩きながら、あの男も、数十年前は誰かに祝福されて生まれた赤ん坊だったんだろうな、と考えると、少し憂鬱になった。

■暗い話の後は明るい話題を。「一ヶ月くらい前に書いてた手作りクッキーの件はどうなったんだ?」という問い合わせが読者の皆様から殺到しています(大嘘。反響ゼロ)。結果的には、えー、まことに恐縮ですが、無かったことにします。君子危うきに近寄らず、武士は食わねど高楊枝ってやつだ。神様、ぼくに何か良いことをプレゼントしてください(結局暗い)。

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