阿呆の休日(2)

2003年6月13日
しばし歩くと人気の全くない公園。そもそも住民がほとんどいない埋め立て地である。こんな所になぜ公園が造成されたのか全く分からない。自棄糞で作ったとしか思えない。ブランコが不吉な調子でキーキー揺れている。それを見ている内、鬱屈・内向しそうになったので、バイキンマンの口調で「はっひふっへほーっ」と言ってみたが、ますます鬱屈・内向。岩にしみ入る蝉の声。

やがて道路が工事で寸断されている場所にさしかかった。左手は倉庫。右は石ころだらけの海岸である。何者かに破られたフェンスをくぐって海辺に下りる。どぶ色の海水が広がっている。波打ち際には、笛吹ケトル、最近見ないカップ麺の容器、ビニル袋などが緑色の泡にまみれて打ち寄せられていた。三途の川ってこんなかしら。はるか遠く反対側の海岸にはふざけた銀色の球が脳天気に輝いている。最近できたテレビ局の建物だ。蟻のように人々が蝟集している。ソーダ水などを飲みながら。「あれがレインボーブリッジだよ」「わあパパきれいだねえ」などと会話をしているのだろうか。

荒れ果てた海岸をひたすら前進。目的地もわからぬまま。やがて、薄汚れたテントが見えてきた。こんな地獄のような場所に居住する人間がいるのか。近づいてみるとテントの脇には一目見て高級品としれる海釣り用の竿が数本。それも相当使い込まれている。世捨て人。そんな言葉が浮かぶ。魚を釣って暮らすならばもう少しマシなところがあるではないか。九十九里とか。それがこんな汚染魚しかいなさそうな海辺に何を好きこのんで暮らしているのか。どんな顔をしているの見てみたい。俺はリュックから竿とリールを取り出し釣りをするフリをしてその人物が現れるのを待つことにした。

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