今日の日記
2003年5月1日■食事中の方は読まないでください。
昨夜、ちょっとこじゃれたバーに入る。一人で、だ。雰囲気もよく酒もつまみも美味かった。最後の一杯、とバーテンにマティーニを頼む。ふと、バーテンを見ると、シャツの胸元に巨大なゴキブリが這っている。黒々と羽を光らせ、邪悪に長い触覚をゆっくりと振りながら。バーテンは何も気づかずマティーニを作っている。言うべきか。胸にゴキブリがいますよ、と言うべきか。俺以外に客はいない。教えれば店員は驚き、そして恥じ入るだろう。これがサソリや毒グモならば指摘して当然なのだが、ゴキブリというのが微妙だ。気持ち悪いけど死ぬワケじゃない。中国じゃ唐揚げにして食ってるくらいだし。それに教えたらバーテンはきっと傷つく。自然に落っこちるかもしれないし。でもあのマティーニの中に落ちたらやだな。そう考えを巡らせている間にゴキブリは背中の方に回り込んだ。バーテンはベルモットの瓶を取るために後ろを向いた。奴はシャツのえりに頭を半分突っ込んでいる。言うタイミングが見つからない。「マティーニ、お待たせしました」。白い歯を見せながら俺にグラスを差し出す。その肩にゴキブリが留まっている。「いただきます」と強張った笑顔で受け取り、三口で飲み干した。「ごちそうさまでした」「どういたしまして」。勘定を支払い、外に出るとき「ウワァッ」と悲鳴が聞こえた。全部実話です。
■今日、とても嬉しいことがあった。いまの俺は希望と幸福に満ちあふれている。募金したい気分だ。
昨夜、ちょっとこじゃれたバーに入る。一人で、だ。雰囲気もよく酒もつまみも美味かった。最後の一杯、とバーテンにマティーニを頼む。ふと、バーテンを見ると、シャツの胸元に巨大なゴキブリが這っている。黒々と羽を光らせ、邪悪に長い触覚をゆっくりと振りながら。バーテンは何も気づかずマティーニを作っている。言うべきか。胸にゴキブリがいますよ、と言うべきか。俺以外に客はいない。教えれば店員は驚き、そして恥じ入るだろう。これがサソリや毒グモならば指摘して当然なのだが、ゴキブリというのが微妙だ。気持ち悪いけど死ぬワケじゃない。中国じゃ唐揚げにして食ってるくらいだし。それに教えたらバーテンはきっと傷つく。自然に落っこちるかもしれないし。でもあのマティーニの中に落ちたらやだな。そう考えを巡らせている間にゴキブリは背中の方に回り込んだ。バーテンはベルモットの瓶を取るために後ろを向いた。奴はシャツのえりに頭を半分突っ込んでいる。言うタイミングが見つからない。「マティーニ、お待たせしました」。白い歯を見せながら俺にグラスを差し出す。その肩にゴキブリが留まっている。「いただきます」と強張った笑顔で受け取り、三口で飲み干した。「ごちそうさまでした」「どういたしまして」。勘定を支払い、外に出るとき「ウワァッ」と悲鳴が聞こえた。全部実話です。
■今日、とても嬉しいことがあった。いまの俺は希望と幸福に満ちあふれている。募金したい気分だ。
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